KAMISHIMA CHINAMI 2009 S/S ショーレポート
日時: 9月2日(火)19:00~
会場: ラフォーレミュージアム六本木
今季のカミシマチナミのテーマは「ウェルカム・レイン(Welcome Rain)」。広がるサバンナの草原、躍動する野生の動物、拡散するナイルグリーンの光源、渇きと潤い等を表現したようで、その表れとして、アイテムとしてはサファリジャケット等の野性的なイメージな物が多く揃えられており、ディテールとしては「雨」のイメージからフリンジを用いたりしたのだそうだ。
例えば、1枚目写真のイタリアンラムのブラックのワンピースは、極めて柔らかい上質のレザーが用いられているが、雨をイメージして小さなスリット状の穴が無数に開けられている。これはスタッフが1つ1つ手作業で開けたのだそうで、その手間に値するほど壮観な出来栄えになっているのが印象的であった。
2枚目写真のリネン58%・コットン42%のオークルのサファリジャケットは、空から見た動物の群集や河川の分岐等が数千本の安全ピンで表現されており、アイテムの種類面でもテーマを直接的に反映したものである。また、生地もナナコ織(オックスフォード)と呼ばれる平織の変化組織が用いられているのであるが、この生地は、織物の表面感が魚の卵の形に似ていることから、「魚子(ナナコ)織」とも呼ばれているそうで、そういった点でもテーマが反映されているといえる。尚、本アイテムはポケットを多く設けたり、泥除けのフラップを付けたり、フロントをジッパーで閉めるようにしたりと、機能面にも配慮されたものとなっている。
3枚目写真のリネン55%・ビスコース45%のベージュのスカートは、草原や野性味から派生した民族的なイメージや雨の降り注ぐ様を表現し、裾等にフリンジがあしらわれているのが特徴である。また、2種類の糸の縮率の違いにより生み出されるポコポコとした表面感も、湿度の高いサバンナを連想させる仕上がりになっていた。
4枚目写真のシルク100%のダークグリーンのトップスに施されているウォーターフォールプリントや、5枚目写真のコットン65%・シルク35%のピンクのワンピースに施されている砂漠の魚プリントは、テーマを直接的に表現するアイテムといえる。さらに、前者は自然とは対照的な金属的な光を放つスパンコールを散りばめることでモダンな世界観に仕上げたり、後者は海草を連想させるドットにデザイナーとテキスタイルデザイナーの指紋を隠したりと、単にテーマを反映するプリントを施すだけでなく、ディテールに一捻り入れられているのが如何にもこのブランドらしいといえる。
全体として、テーマとの関連性を保ちつつも高度の技術と捻りのあるユーモアを織り交ぜるという、カミシマチナミのブランドの特徴は相変わらずであったと感じられた今季のショーであった。
尚、展示会ではカミシマチナミ・イエローの扱いもあった。当ブランドの普遍的なテーマはプリント、遊び、スポーティであり、メインラインと変わらぬ素材感で、尺等を減らすことで価格帯が抑えられているのだそうだ。
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