archi 2010 S/S 展示会レポート
日時: 11月15日(日)~11月18日(水)
会場: SPEAK FOR ANNEX
アーキは毎シーズン、デザイナーが訪れた旅先の国からインスパイアされたコレクションを発表しているのだそうだが、今シーズン訪れた先は、アフリカ大陸にあるチュニジアであるそうだ。眩しいだけでなく、肌に痛みさえも感じる陽差しは神々しく、すべてに輝きを与える。どこまでも続くサハラの不毛とした地。地平線の先にたたずむ、生命の憩いを洋服に落とし込んだのだそうだ。個人的な印象としては、テーマを意識したオリジナルのテキスタイルを用いたり、ディテール面では摘み・手繰り・絞り等を加えたりと、細かな変化を楽しめるアイテムが多いと感じた。
例えば、1枚目写真と2枚目写真は、ベースにコットン100%の同一の生地を用いた「KIFARU」というシリーズのチュニックトップとキャミソールドレスであるが、チュニックトップには胸元にシルバーの糸で植物柄の刺繍を施したり、キャミソールドレスには襟刳りに手作業で金属のパーツを取り付けたりと、民族的なアイテムの印象を保ちつつも、細かな遊びが入ったユニークなアイテムに仕上げられていた。
3枚目写真のコットン100%の「KIMA」というシリーズのキャミソールは、一見シンプルながらも、多種類の異なった生地やレースを用いる等、細かな配慮をなすことで深みのあるアイテムに仕上げられていた。
4枚目写真のシルク100%の「NYATI」というシリーズのワンピースは、背中から腹部に掛けて、ベースと異なるパーツの生地を取り付け、ドレープ感が楽しめるようなアイテムになっていた。また、腹部にはビーズのパーツをあしらい、ドレープ感と相俟って民族的なイメージが増すように仕上げられていた。
5枚目写真のレーヨン100%の「KIBOKO」というシリーズのキャミソールドレスは、2種類の絞り染めが用いられており、胸部分にプリーツやシャーリングを施したり、スカート部分に格子のステッチを施したりする等、素材のドレープ感や陰影が強調されるように仕上げられているのが印象に残った。
その他、チュニジアを始め砂漠の国で暮らす人々にとって美しさの象徴と考えられている「トムソンガゼル」をプリントしたTシャツ(画像をみる)や、「子供たちに愛」をという意味でスワヒリ語で「人は愛し合い、与え合うべきもの(Binadamu tupendane mazuri tutendeane)」とプリントされた、売上の一部をセーブ・ザ・チルドレンに寄付するというチャリティTシャツ(画像をみる)等、テーマに関連して幅広くアイテムを揃えられている、コストパフォーマンスに優れた秀逸な展示会であると感じた。
※画像をクリックすると拡大します | ||||